白馬岳・白馬鑓から鑓温泉へ滑降
【 日時 】2023年5月 3日(水)~4日(木)
【 場所 】後立山連峰・白馬岳、白馬鑓ヶ岳
【 天気 】3日: 晴れ時々曇り、4日: 晴れ
【メンバー】Te
【 交通 】自家用車
2日21時頃 国立市富士見台を出発。青梅IC-圏央道-関越道-上信越道-更埴IC-長野白馬道-白馬-猿倉3日2時頃(随所小渋滞、休憩を経ての所要)
【 行程 】
3日: 猿倉荘登山口5:54-7:03白馬尻(シールオン)7:15-9:14岩屋跡あたり(シートラ・アイゼン)9:37-9:51避難小屋(シールオン)10:26-11:38白馬山荘(宿泊受付)11:59-12:22白馬岳13:16-13:24白馬山荘13:36-稜線散策-14:54白馬山荘
4日: 白馬山荘6:10(滑走)-6:14頂上宿舎上(シートラ)6:22-6:31丸山6:38-7:44杓子岳トラバース南端7:52(滑走)-7:56滑走中断8:10(シートラ・アイゼン)-9:06鑓ヶ岳9:36-9:41標高2850mドロップポイント9:46-10:17鑓温泉10:54-11:02ボトム(シールオン)11:23-12:10小日向のコル12:23-12:50猿倉台地(標高1480m滑走終了)12:59-13:38猿倉
【記録】
連休の計画として、Kさんと立山スキーの予定だったが、Kさん都合でTeの単独となり、天候予想により日程も行先も変えて本計画となった。
5月3日朝、猿倉の駐車場は7-8割の充足率と見える。駐車場から朝焼けの白馬本峰が仰げ、意気が上がる。猿倉荘で登山届を出すと、ルートのみならず、アイゼン等の装備を聞かれ、山小屋予約も確認された。
スキーをザックに取り付けたシートラ(シートラーゲン)で歩き出す。鑓温泉への分岐を過ぎて雪上を歩くようになった。長走沢と白馬尻の間でやや急斜面のトラバースがあり、その前で皆アイゼンを装着していて、自分も倣う。白馬尻では小屋も、文字の書かれた岩もまだ雪の下、スキーを下ろしてシール登行で大雪渓を進む。
雪渓は徐々に傾斜を増していき、スキーで真っすぐ登れなくなると、斜めにジグザグで進むようになる。ところがこの日の雪面は、一昨日の新雪が緩い湿雪として表面にあり、これが横ずれを起こしやすい。普通ならスキーのままで行けると思える傾斜なのだが、このときはクトー装着でも万全でなく、一旦シートラ・アイゼンとした。大雪渓中で最大傾斜の岩室跡あたりである。
屋根だけが出ている避難小屋で休息。この先傾斜が緩むので再びシール登行にする。背中が軽くなるのでやはりこの方が楽だ。村営頂上宿舎前からは、稜線に向かう夏道に従わず、斜め右に白馬山荘に向かうルートを辿る。山荘の直前で稜線は雪が消えて、通常の登山者は石ゴロ道を行っているが、自分はスキーのままで、少し下から雪を辿って山荘下に達した。
山荘で受付を済ませ、そのまま靴を脱がずに山頂を目指すことにした。スキーは置いて行く。避難小屋辺りでは曇りになっていたが、再び晴れて、青空に剱・立山、杓子・鑓が鮮やかに見える。ゆったり頂上へ歩き、頂上でゆっくり過ごした。大雪渓で並行して歩いたボーダーや、白馬主稜を登って来たクライマーと会話したりした。
山荘に戻り、今度はスキーを履いて稜線の十字路へ滑り降りた。そこから旭岳方面に滑ろうと思って来たのだが、東斜面はびっしり雪なのに、目の前の西向き斜面はずっと下まで雪がない。もう登り返すのもしんどいと感じ、下に行くのは止めた。そこに登場したのが雷鳥。羽の生え代わりは始まっているがまだ8割方白い雄。近寄ってもすぐには逃げず、大きな写真が撮れた。それから丸山方面に少し偵察をして山荘に戻った。
4日の朝、朝食を済ませ、すっかり明るくなってから出発。最初は山荘下からスキーで、丸山手前の小鞍部まで滑降。標高差90m、直線距離約500mはものの2,3分で終わる。モードチェンジの時間を含めると、初めから歩く方が実は早いかも知れないが、滑れるところは滑った方が楽しい。そこからはシートラ歩き。杓子岳手前まで9割方夏道歩き。杓子岳下のトラバースはびっしり雪面でここは迷わずアイゼン歩行。それを過ぎて鑓ヶ岳まで夏道を辿ると、雪上・地上半々くらいと思われる。一方夏道を右下に外れると雪をつないで鑓までいけそうだとそっちを選択。標高2600mの地点まで標高差100mを3分ほどで下りてしまう。そこから鑓山頂まで300m上がる、本日最大の登り。雪は堅いのでシートラ・アイゼンで、約1時間で到達。
白馬鑓の頂上に自分が来たのは7回目、春のスキーでは3回目である。暖かい日差しの下で少しゆっくり過ごす。強風で大変だったことも思い出にはある。眺めも堪能し、さて下りに入ろう。
山頂から少し夏道を歩いて下り、標高2850m辺りがドロップポイントとなる。最初はこわごわと、急なので斜滑降で100mほども進み、大丈夫と見てターンを始める。後は一気に、標高2600mで夏道と交差するまで、雪も白く空は青く爽快この上ない。一旦停止し、鑓温泉から次々と登ってくるスキーヤー達としばし会話。トレースだらけになったので、できるだけ荒れてない雪面を選んで鑓温泉へ。
鑓温泉の小屋は解体されているが、湯船は滔々と湯が溢れ、テン泊者達が入浴している。自分も2019年の5月にテン泊を経験している。この時期に来ることができる登山者だけの究極の秘湯で、湯も熱く、雪を投げ入れての調整も楽しかった。今日の自分はただ休憩と見物。
鑓温泉から小日向のコルまで、夏道は杓子沢を横切ってアップダウンが少ないように付けられているが、残雪時は湯ノ入沢を400m下りてコルへと220m登り返す。杓子と槍の、荒々しい東面の眺めに気を紛らわせて、最後の登りを頑張る。コルには広い平地があり、テントが4張りほど残っていた。昨夜はもっとあったのだろう。ここも良いキャンプロケーションだ。
コルからは本日最後の滑降。雪は綺麗ではなくなってきたが、長走沢と出会うまではまずまず快適。右に針路を変えて東向きになると猿倉台地の緩斜面、デコボコの雪面にトレースを追いながら進む。標高1500mを割り、樹林が密になって歩く方が楽だと判断し、滑走終了。シートラで歩くと間もなく地面も現れ、遂に林道に出て猿倉で行動終了。本日の所要時間は7時間半、計画より1時間早かった。昨日はもっと余裕があり、全般に順調な山行だった。
猿倉から車で下りて直近の温泉はおびなたの湯なのだが、今年の営業は未だだった。八方の中心から北に、松川を渡ると倉下の湯があり、そこで入浴した。かけ流しの露天風呂から鑓ヶ岳が望め、滑った斜面も分かる。今日の自分には最適極上の温泉だった。
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