セルフレスキュー講習
更新日:5月3日
実施日: 2024年1月27日(土)
場所: 御岳渓谷
参加者 S 他10名
行程: 立川07:15 − 御嶽08:25/08:35…御岳渓谷…御嶽15:44 − 立川16:35
08:45-09:45 緊急通報訓練 杣の小橋付近で緊急通報訓練を行った。 Iさんが負傷者として冷たい河原に横たわる。迫真の演 技でピクリとも動かず、事情を知らない他人が通りがかり に通報しそうな状態であった。110番通報を模してSさん が受け答えをするが、メモを見ながらであってもなかなか スムーズに行えない。実際の場面であれば、なおのことだ ろう。救助して欲しいという要望を、はじめに明確に意思 表示することが大切とのこと。あとは警察が指示してくれ るので、落ち着いて山行計画書から必要事項を答えると良い。 遭難場所を知らせるのも重要な点であるが、計画書を元にどこをどのように通って きたか説明すればよいので、やはりしっかりと書かれた計画書であることも重要である。現在位置を通知する方法として、各自、スマホでGPS座標を読むということもやってみた。スマホの新しい機能を使い慣れないうちは、山行計画書を充実させ、山行時 に所持することが一番の近道だろう。 また、遭難の経緯やその後の情報は、救助隊に説明する際にも必要な ので、時刻とともにその時々の状況をメモしておくことも必要だ。
10:00-10:30 手持ちの材料による松葉杖作成 トレッキングポール(ストック)二本を、白色のテーピングテー プで組み合わせて応急の松葉杖を作ってみた。スノーバス ケットがあれば、ポール先端はテープ固定をしなくても良さそうである。中間部分の持ち手はテープで連結したが、スリング を巻きつけて固定しても良いようだ。
10:30-12:00 急坂・氷結路でのレスキュー 急坂・氷結した坂道、登山道からの滑落を想定した対応訓 練を行った。 安全に急坂を下るには、ロープをガイドとするのが良いが、 ロープの支点となる立木が無い。ツツジの植え込みを利用し て、根元近くで支点を取る。支点確保では、よく使われるク ローブヒッチを利用し、立木に巻きつけていく。 まず、マッシャーやインラインエイトノットで確保しながら下る 練習をした。緩い斜面の場合、マッシャーで滑り止めを行えば、一本の ロープに同時に数人が降りられるので、大勢であっても比較的スムーズ に降下できる。急斜面の場合は、一人ずつ確保が原則である。 引き上げには、1対1、2対1で引き上げ重さの違いを確認する。 要救助者の引き上げでは、二本足(ラビットノット、ダブルフィギュアエイ トループ)を利用すると、下半身が固定されて引き上げやすい。
12:00-13:00 昼休憩 Nさんが具沢山のすいとん入りみそ汁を作ってきてくれた。 冷え切った体に汁物が暖かい。東屋に日差しがさしてきたこと もあるが、山間の渓谷では動かないとすぐ体が冷えてしまう。
13:00-14:00 懸垂下降訓練 午後からは懸垂下降の練習を行った。土手の斜面に加え て、1.5mほどのほぼ垂直の石積み擁壁を降りる。土手から石 積みの境で傾斜角が急激に変化するので、非常に不安定になりやすい。各人、ムンターヒッチでの降下を2〜3回実施した。 擁壁の斜度はキツイが、かかとを壁面につけるようにしっかりと立ち上がる必要がある。ロープが垂れ下がる方向にまっすぐ降りることを意識する。斜めに降りると、バランスを崩した際 に体が大きく振られることになる。
14:00-15:00 搬送訓練 ツェルトに負傷者を寝かせ、6〜7人で搬送する訓練 を行う。小石を包み込んでテルテル坊主のようにし、ク ローブヒッチで縛り上げることで、ハトメが無いツェルト でもスリングで持ち上げることができる。遭難場所から 安全な場所まで、小距離を移動させるのに都合が良 い。 ザックとレインウェアを利用した背負い搬送も実施し たが、一人で運ぶことになるので5分程度の搬送が限 界とのこと。
〈ヒヤリハット事例〉 懸垂下降のロープ回収時、メンバーの一人が石積み擁壁を最後に降りる際にバラン スを崩し転倒した。他のメンバーも下降訓練を終えて、各々の道具の整理に気を取ら れており、緊張が解けたときのできごとであった。最後のメンバーが安全な状態になる まで、気を抜かずにいることが改めて重要であると痛感した。 あとから考えれば、最初に確認したSさんも土手から石積みの境でバランスを崩し 転倒しかけていた。今回の斜面は、難易度が少し高かったかもしれない。
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