雪上訓練 谷川岳マチガ沢にて
- kitatetu
- 5月1日
- 読了時間: 6分
日 時:2025年4月19日(土) ~ 20日(日)
場 所:谷川岳・マチガ沢
参加者:St、Sw、Kn、Te、En、Sn、Im、Oy
[4/19(土)] 晴れ時々曇り
武蔵小金井6:00 → 所沢IC 6:40 → 水上IC 8:40 → 谷川岳ベースプラザ駐車場 9:00 / 9:40 … マチガ沢 10:20(雪上訓練)15:30 … 谷川岳ベースプラザ駐車場 16:00 / 16:30 → 永楽荘 16:50
[4/20(日)] 曇り時々晴れ
永楽荘7:45 → 谷川岳ベースプラザ駐車場 8;00 / 8:20 … マチガ沢 9:00(雪上訓練)12:30 …谷川岳ベースプラザ駐車場 13:00 / 13:40 → 水上IC → 所沢IC → 武蔵小金井 18:20
今後、雪山に行くことは無いだろうと他人事と考えていた雪上訓練であったが、一度は経験してみるのも良いのではと思い、アイゼンとピッケルをお借りして参加することにした。
4/19(土)
水上あたりは桜やハナモモが満開でやっと春到来。駐車場からマチガ沢までの林道の両側にはフキノトウがいっぱい顔を出し、崖の上にはイワカガミやショウジョウバカマが咲きだしていた。前方に雪のマチガ沢が見えてきた。どのような一日になるのか、不安と緊張が入り混じる。沢のとりつきの左側の林の下の急斜面で講習が行われた。

【午前の講習】急斜面の中ほどまでで
① 歩行(フリクション、ステップキック、ピッケルの有・無)
・緩斜面はフリクション(摩擦)で。
・傾斜がきつくなってきたら、直登はつま先を直下降はかかとを雪面に蹴り込む。
・トラバースは山側の靴は進行方向に平行にして山側のエッジを蹴り込む。谷側の靴はつま先を少し開き内側のエッジを使う。ガニ股の感じ。
・ピッケルは山側(登りはやや前、下りはやや後ろ)に突き、ピックは山側に。
② 歩行(アイゼン歩行)
・アイゼンはしっかりと装着する。
・フラットフッティング:靴底を雪に対してフラットに置きアイゼンのすべての爪がしっかりと雪面に刺さるように。
・両足は肩幅程度に開き平行に足を運ぶ。アイゼンの爪を踵の内側に引っ掛けないように。
③ ピッケルの装着方法
・手首にかける(ハンドリーシュ):左右の手に持ち替えるには経験が必要になる。
・肩にかける(ショルダーリーシュ):肩にかけたままで左右の手に持ち替えられる。
<感想>斜面を登る時はフリクションでもアイゼン歩行でも、ピッケルを山側の少し前にセットしてどうにか登ることができた。しかし、下りは滑るのではないかとの怖さを感じて、ついつい後ろに体重が残りへっぴり腰になってしまうので余計に滑りやすくなる。ピッケルも後ろではなく前に突いたりしていた。スキーと同じに、腰を引かずに体重を靴の上に均一に乗せて歩く必要がある。そういえば、雪がない急斜面を下る時にもこのような注意を受けたことを思い出した。

【午後の講習】急斜面の上まで
① 滑落停止(ピッケルの使い方)
・通常はピッケルのシャフト上部のヘッドを上から手のひらで覆うように握る。
・バランスを崩した時には、ピッケルのピックかシャフトを雪面に差し込み、両足を可能な限り雪面に利かせてブレーキとし、滑り出す前に止める。
・滑り出した時は、ピッケルのヘッドを肩付近に引き付け(ピックを外側に)もう一方の手でシャフトの末端部を持ち、体の正面で対角線になるようにする。脇は締める。ヘッドを持つ手の側に体を回転させ(腹ばいになる)ピックを雪面に差して滑落を止める。アイゼン装着では足は上げる。
・アイゼンを付けずに、立ち木を利用してセルフビレイをして練習した。
② 雪洞掘り(雪山ではスコップは必需品)。
・急斜面の一番上の少し平な雪面にある立ち木の脇の雪の壁に雪洞を掘ることに。
・入り口は小さく中を広く掘る。雪はブロック状に切り出していく。
・中へ掘り進み、2人が入れる位の雪洞が完成した。

③ スタンディンググリセード(斜面を滑り降りる技術)
・両足を肩幅程度に開き靴底をスキーのように滑らせる。速度調整は踵で行う。両足とピッケルのスパイクで荷重を分散し、停止がすぐにできるように中腰姿勢を維持する。止まる時は両足をそろえて横向きになり靴のサイドのエッジを効かせて止まる。
・スピード調整や停止の技術を正しく確実に身に付けていないと危険である。
<感想>滑落停止実施の一回目はピッケルを何となく持っていたので、体は反転できたもののピッケルのピックが上手く雪面に刺さらず、かなり下まで腹ばいで滑って行ってしまった。滑ったときのピッケルの持ち方を特訓していただき、二回目は反転と同時にピックを刺して停止できた。セルフビレイをしていたので安心であった。雪洞掘りはどこに掘るかの見極めが重要である。腕が痛くなった。要領がわかっていないのだろう。講習が終了し急斜面を降りなければない。グリセートで。まずリーダーが華麗に斜面を降りて行った。スキーのパラレルターンのように弧を描き停止した。見とれていた。靴をスキーのように滑らせるには?怖さが先になり滑り出す前に尻もちをついてしまう。しかし、降りなければ帰れない。斜面に対峙して雪面にピッケルと手を付きながら足を斜面に蹴り込んで歩いて下った。
帰りの林道には朝には無かったが、斜面からの雪の塊が道をふさいでいたし、歩いている時にも斜面から小さい塊がコロコロと落ちてきた。雪解けの時期の道は上に注意が必要だ。

4/20(日)
昨日の場所より少し手前の緩斜面で、午前中のみ講習が行われた。
【講習】
① 雪面でのアンカーの構築
a) ピッケル、スノバー、土嚢袋(スタッフバックに雪をしっかりと詰める)を横に使って
・それぞれの中央にスリングをガースヒッチかグローブヒッチで巻きつけておく。
・雪面にそれぞれが埋まるくらいにT字型の溝を掘る。
・それぞれを溝に沿うように置き(ピッケルの場合はピックを下に向ける)、連結したスリングを手前の溝に沿うように置く。
・セットしたスリングの末端は雪面の上に出し埋め戻しよく踏み固める。

b) ピッケル、スノバーを雪面に縦に埋める
・設置場所を踏み固め、あらかじめスリングを連結したピッケルまたはスノバー(V字の開いた面を上方に)を雪面に差し込む。
・差し込む角度は雪面に直角ではなく斜面の上方に少し傾け斜めにする。
・スリングの先端を雪面から出してからしっかりと埋め戻す。
c) スノーボラートの構築(特別の道具を使わずにでき、またロープを回収できる)
・雪面に馬蹄形の溝(横幅1m以上、深さ30cm位)を掘り、溝にロープをかける。
d) トラバースの支点作りとフィックスロープの設置、通過
・b)の方法で支点をつくり、雪面から出したスリングにカラビナをセットし、フィックスロープを設置する。
・二丁拳銃かマッシャー結びを使って通過する。

② 埋没捜索
a) ビーコンを使って
・予め埋めておいたビーコンが発する信号を手元のビーコンで捜索する。
・山行の際はビーコンを送信モードにして携帯する。
・捜索の際は受信モードにして使う。画面には送信している信号までの距離と➡で方向が表示され音が鳴る。現場に近づくと表示される距離が縮まり音も変わる。
b) プローブを使って
・雪面に刺して、埋没者の位置を特定する。
・プローブで接触した時の感覚人と地面では感覚に違いがあるらしい。

<感想>手持ちの物を工夫してアンカーが作れることを学んだ。また、雪だけでもアンカーが作れ、この場合はロープを回収できる。しかし、しっかりと作らないと危険である。自分で作ったボラートを使って懸垂下降を試みたが、肝心の斜面の上でなんとロープが足りなくなってしまった。初めにロープの長さを確認しなかったミスであった。埋没捜索は無いにこしたことはない。
怪我なく無事に雪上訓練を終えることができて良かった。初めてのことばかりで学ぶことが多かったが楽しい二日間だった。
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